■ドラゴンで挑戦したかったこと
ドラゴンを作っていくにあたって、
最終的な目標だなと感じたことは、
「プレイヤーが他人に収入をあげることに対して、
どれだけ壁を低く感じさせることができるか。」
何のことかさっぱりだと思います。
ゲームをするうえで、
無償で他人のプラスになるようなことは抵抗があると思います。
でも、逆にプラスになるようなことをされたら、
とても嬉しいと思います。
それは、このブログを読んでくれている豆を愛する皆さんなら
察してくれていると思います。
いかに他人から思わぬ収入を得つつ、
プレイヤーも抵抗なく他のプレイヤーに報酬を与えることができるか。
これを何とか実現できないかなと思いました。
そして色々あって、
製品版の「いのる」というアクションに落ち着きました。
「いのる」とは
精霊の力を借り、素材を別の素材に変換します。
自分の精霊の中から1体の力を借りる、
他人の精霊の中から1体の力を借りる、
またはその両方の力を借りることができます。(つまり最大2回)
自分の精霊を使う場合は、使用する素材は銀行へ
他人の精霊を使う場合は、使用する素材を他人の精霊の上に置きます。
では、この「いのる」が「仕事」からどう変わっていったのか、
思い出していくとします。
■仕事の改善
最初のテストプレイ後、
仕事について悩んだ自分は、
「ケイラス」を参考にしました。
建物を誰かが使ったら建物の持ち主に報酬がある、
という「ケイラス」のシステムだけを切り取り、
それらで稼いだリソースで勝利点になりうる成長を行う、
といった感じになったらいいなと…。
単なる勝利点という記号ではなく、
個性があったら面白いなと思ってドラゴンはそのままにしました。
仕事はさまざまなバージョンを試していきました。
@回数制
一度使われた仕事場は誰も入れなくなるというものではなく、
○回までOKという回数制限をつけてみました。
しかし、逆に当時の仕事は、
仕事をする側に回数制限がなく、あっという間に埋まってしまいました。
仕事をいっぱいしたいという要望に応えていた結果です。
何回入ったかもいちいち支払われたコストを見て
数えるのが面倒ということもありました。
Aワーカー制
一番異色な時期です。
回数制を視覚化しようとしました。
カードをワーカーの代わりに使用し、
何回この建物が使われたかわかるようにしようと思いついたのです。
アクションカードはこのときはなく、
ドラゴンカードすらも消滅していました。
仕事が面白いといわれていたため、
仕事に特化しようと考えたためです。
全てのカードが建物カードとなり、
裏向きで使うとワーカー代わりになり、素材がもらえる。
表向きで使うとコストを払って仕事場が建設できる。
もちろんワーカーとして使ったカードは他人の物に。
しかし煩雑すぎる、使えないカードがぐるぐる回る。
おもしろくない!
この時、ドラゴンはお蔵入りになりました。
(当時のコードネーム:市民)
Bワーカー制2
お蔵入りを決める直前くらいに思いついたバージョンです。
完全に迷走していました。
カードでわかりづらいなら、駒でやったらどうか?
ということで、カードの上に駒を乗せてみたりしました。
いやー、おもしろくなかったです。
本当にテストプレイをしていただいたみなさん、
申し訳ありませんでした。
Cコストアップ制
Bから随分時が過ぎ、
G2さんに、
「プロトタイプのドラゴンが一番とがっていてよかった。」
ということをいわれ続けていたため、
「本当に面白かったかどうか、確かめてみますか。」
ということで
「たねまき」の新版の販売を終えたころ、
ドラゴンを久しぶりに引っ張り出しました。
その時に前のままではよくないと思い、
いくつか修正を入れてみました。
まず、自分の仕事場をつかえるようにしました。
コストは仕事場の上に支払います。
一度使われた仕事場に素材を置いておき、
次に使う人はそれよりも多くのコストを払うことで
何回でも入れるというものにしました。
素材がどっさりのっている時の処理が面倒で却下になりました。
さらに、仕事場の持ち主が過剰に儲かってしまうという事態に。
そして、共通のみんなが使えるお店を追加しました。
これは誰のものでもなく、
変換レートは悪いものの何でも買えるお店です。
しかし、これは失敗でした。
高すぎればお店を使わなくなり、
安すぎればお店に行き、他人の仕事場に行かなくなるのです。
おそらくちょうど良い値段に調整したところで、
お店を選ぶことになるでしょう。
値段調整を何回かしましたが、カットしました。
C回数制2
原点回帰です。
コストアップ制で実験的に入れた
「自分の仕事場を使える」は悪くないと思いました。
仕事を行う側に回数制限を持たせ、
思い切って仕事場は使用されても
同じコストで何度でも使えるようにしました。
仕事に行きたい仕事場を1か所選び、そこに仕事へ行く。
コストは仕事場の上に置く。
このようなアクションになっていました。
D最後の詰め
仕事アクションで気になっているところがありました。
回数制2の時点で
自分の仕事場にコストを払うときは銀行へ、
他人の仕事場にコストを払うときはその仕事場へ払うようにしていました。
支払方法が違うことがどうにもややこしい。
でも、これについては目をつぶりました。
どちらの仕事場の場合もコストを乗せるタイプに寄せた場合、
自分の仕事場にコストを乗せれば永久機関になってしまう。
これがどうしても気に入りませんでした。
どちらの仕事場にもコストを置かないほうに統一した場合、
収入をどのように得ればいいのかという問題があります。
使われた時の収入をその場でもらうのか?
そうなると休むが手札を戻すだけで嬉しくない作業になってしまう。
いくらもらうのかカードに情報が必要では?
しかし、自分が使ったときもらったら永久機関になるため
自分のカードに書かれた情報は見なかったことにして
収入は貰わないようにするルールに…?
結局どこかで目をつぶらなくてはいけないのか、と。
で、なぜかは分からないのですが、
当時の自分がやけくそになったのか、
この時仕事アクションを拡張して、
相手の仕事場に行ける、
追加で自分の仕事場に行ってもよい。
というルールに変えてみたところ、
自分の中で納得ができるアクションになりました。
「追加で」自分の仕事場へ行ける
という縛りは正直いらないなと思い、
どちらの仕事場をを使ってもいいし、
順不同で両方使ってもいい、という風になりました。
今まで、
他人が良い仕事場を持ってさえいれば良くて、
自分はいい仕事場を持たなくてもよい、
だから仕事場を買い替える必要はない、
仕事場を誰も買わない、という問題がありました。
このルールに変えたことで
自分もそこそこ良い仕事場を持たなければ
素材のコントロール能力が弱くなってしまいます。
さらに2回仕事ができるようになったことで、
2回行かないと損をしたように感じるのです。
プレイヤーが
「アクション数が少なくて損をしている」→「仕事をしたい」という気持ちが、
「他人の仕事場へ収入を与えたくないな…。」という気持ちを超えた瞬間でした。
これはいい落としどころだなと思いました。
「仕事」から「いのる」に名前が変わった経緯は次回にて!
つづく