HOYGAMESのやざわです。
ゲームマーケット2019秋では「プロジェクトユニバース」を新作として販売しました。
このゲームは制作期間が2年と、今まで作ったゲームの中で最も長期間で、
大規模なゲームとなりました。
これがどんな流れで作られたのか、文字に残しておこうと思います。
■空白の2017年
2016年に「老師敬服」を販売し、
2017年は新作を何も発表することがありませんでした。
2017年は何もしていなかったわけではなく、
いろいろなゲームを試してはお蔵入りにしていました。
お蔵入りになった一つは「コードネーム:スパ」と呼ばれるゲームで、
スーパー銭湯やスパ施設が大好きだったので、
スパに関するゲームを作ろうと思って作っていました。
こちらは自分のスパ施設にお風呂、ジェットバス、サウナ、水ぶろなどの設備を設置し、
設置したことによって自身のパラメータである体温が上下、
その年のお客さんが求める温度に近いと勝利点といったゲームです。
しかしこのゲームは構想だけで終わり、
様々な形を変えてテストをしてくことになります。
このゲームの元となったゲームが「プロスペリティ」だったことから、
「風呂スパリティ」という名前で記録が残っています。
つぎに「アボカド」という
フルーツを売ってお金を稼ぐゲームを試し始めました。
スタートが「テラミスティカ」の宗教トラックでゲームができないか、
というところだったので、テーマがありませんでした。
何か交易するゲームがいいかもしれないと思い、
適当にメキシコのいくつかのフルーツを売り、
各フルーツを各トラックに当てはめ、フルーツを売ると恩恵が得られる、
という仕組みにしました。
このゲームは非常にコンポーネントが多く、大変だった記憶しかありません。
あんまりおもしろくもなく、ゲーム内容はあまり覚えていません。
その次が帰ってきた「コードネーム:スパ」
こちら、もはや風呂は関係なく、
大好きな「スパイリウム」の一部を元にしたゲームとなります。
そして、メインシステムは面白いと思うものの、
あまり評判を聞かない「キングスポーチ」の袋引きを採用しています。
正直なところ、あまり「キングスポーチ」のシステムは機能していませんでした。
舞台は宇宙、ある惑星を植民地にするため、各設備を惑星に設置していきます。
前半では労働者の袋引き、後半では設備の起動を行って得点を得ていきます。
後半に進むタイミングは各プレイヤーの任意のタイミングで、
後半に進むと袋から引くことはできなくなり、設備の起動のみとなります。
前半の無意味さが目立ちこれはダメだと結構調整したもののお蔵入りにしました。
そして最後に「穴掘り」です。
こちらはキングスポーチの袋引きをあきらめきれず作ったゲームです。
このゲームの中には凄く光るシステムがあり、
いつかゲームに生かせたらなと思っています。
ゲームは手札をドラフトしていって、移動力カードを獲得し、
手番ではそれを使用していきます。
移動した先のマスに書かれた数、鉱石を袋から引いてセットコレクションを作って、
得点を得ていきます。
カードにはアイコンが書かれていて、それらはマスに侵入する際の助けになります。
プレイヤーは使用し終わったカードのうち一枚を自分の個人ボードに差し、
次の手番は少し侵入しやすくなった状態でゲームが始まります。
この一年後、「ニュートン」を遊んだときにこれは!と思い、興奮しました。
これは穴掘りシステムじゃねーか!と…。
個人ボードにカードを差すのって楽しいですよね。
■ゲームマーケット2017秋
二つの出来事がありました。
一つ目は「ハレルヤロックボーイ事件」です。
普段仲良くさせていただいている、現ハレルヤロックボーイのメンバーの皆さんが、
まったく周囲に知られずに新サークル「ハレルヤロックボーイ」を立ち上げました。
自分はもちろん周囲の誰も知らず、驚きというより、
教えてくれなかったことに対する悲しさが上回ってしまい、
その日はショックを受けていました。
二つ目はその夜に、PlanEの山内さんから
「こんなゲームを考えているからデベロップをお願いできないだろうか?」
という話を受けました。
自分はその日ショックを受けていたものの不思議なほど思考がクリアになっていました。
ネガティブで落ち込んでいるときほど集中できるようなのです。
面白くなりそうな予感がしたので、それをゲームに起こしてみようと思いました。
次の日、この気持ちの落ち込みを利用しない手はないと思い、
申し訳ないとは思いつつも、気持ちをどん底に叩き落とし、
ブースのお手伝いをしながら、ゲームのことを考えていたことを覚えています。
プロジェクトユニバースを作り始めたのは
ハレルヤロックボーイの力と言っても過言ではありません。
ありがとうございました。
ハレルヤロックボーイはゲームマーケット2019秋で、
新作「四畳半ペーパー賽系」を発売しました。
各自配られた紙に色鉛筆でパズルのピースを書き込んでいくタイプのゲームです。
面白いゲームですので、興味がありましたらこちらから是非お買い求めください。
ボドゲーマさん
コロコロ堂さん
デザイナーズノート-プロジェクトユニバース(原型)に続く