こんにちわ。
HOY GAMESという個人サークルでゲームを作っているやざわと言います。
ゲームマーケット2021秋では「豆と共にあれ」という紙ペンゲームを作りました。
紙ペンゲームは現在たくさん発売されていて、
その歴史をなぞる…とまで凄いものではないですが、
自分はこんな紙ペンゲームを遊んだり知ったりしてきたのを振り返り、
中でも自分の好きな紙ペンゲームはこれだ!というのを紹介したいです。
また、自分の記憶を頼りにうろ覚えで書いているところがあります。
間違っていたらごめんなさい!
■紙ペンゲームとは?
自分のさっきから言っている「紙ペンゲーム」とはいったいどういうものなのか?
紙とペンを使って遊ぶゲームでも様々なジャンルがあると思いますが、
なんとなく、こういう感じのゲームについて書きます。
・ゲーム専用のシートやボードが入っており、そこにペン等で書き記して遊ぶ。
・書き込みによってゲームが進む。
・サイコロやカードによって、ゲーム進行が管理されている。
・その他駒やボードがある場合があるけど、補助的なものとして使われる。
・お絵描きがメインではない。
といった感じです。
紹介タイトルに例外があるかもしれませんが、
そこらへんは優しい心で見守っていただければと思います。
■ロール&ライトとフリップ&ライト
現在の紙ペンゲームでは主にこの二つが主流だと思います。
ロール&ライトはダイスを振った後、その出目に応じて書き込みを行うもの。
フリップ&ライトはカードをめくった後、書かれたものに応じて書き込みを行うもの。
ロール&ライトは毎回ダイスで抽選されるため、数値が偏ったりして、
運によって左右される感じが強いと思われます。
フリップ&ライトはカード構成に依存していて、
ある程度分散するようになっているかと思われます。
思われますっていうのは、ゲームによっては別の方法で救済があったりして
一概にそうとも言えないな…という感じです。
■初めての紙ペンゲーム
自分がおそらく最初に触れた紙ペンゲームは「ストリームス」になります。
・ストリームス(2011)
今でも大好きなゲームで、様々なリメイクや派生作品が作られています。
「エクストリームス」
「パーティキンゴ」
「ストリームスクロス」
数字の書かれたカードやタイル、もしくはダイスを使って、
このラウンドに書かなければいけない数字を決定します。
その数字を、空いている好きなマスに書く、これを繰り返していくゲームです。
書き込んだ数字が小さい数字から大きい数字になるように書かれていると良くて、
ゲーム終了時にたくさんつなぐことが出来ると高得点が得られるという感じです。
小さい数字から大きい数字に…という概念が最初ちょっと難しいかもしれないですが、
ビンゴくらいに手軽で、盛り上がるし、
運ゲーだけど書き込んだ自分に責任を感じられる感じがしてとても好きなゲームです。
■2021年現在の紙ペンの定番タイトル
実際に定番かどうかはわからないですが、たぶんこれが良く遊ばれているんじゃないかなー…
という感じのゲームです。
2021年現在も普通に買って遊ぶこともできるゲームです。
・ガンツシェーンクレバー(2018)
「ガンツシェーンクレバー」はロール&ライトタイプです。
ダイスを振ったあと、出た出目を使って、条件に合う箇所のマスを塗りつぶしていくゲームです。
また、ダイスの色と同じエリアにしか書き込めないようにもなっています。
このゲームの特徴は何といっても、
書き込んだ結果、別のところを塗ることが出来るコンボが発生するところです。
これが非常に気持ちが良いところです。
・ウェルカムトゥ(2018)
「ウェルカムトゥ」はフリップ&ライトタイプです。
カードの裏面には数字、表面にはアイコンが書かれています。(どっちだったかうろ覚え)
山札が3つあり、それぞれの山札からカードを1枚めくります。
そうすると、めくられたカードと、山札のカードで「アイコン+数字」の組み合わせが出来上がります。
「山札とその山札からめくられたカードの組み合わせ」が3つあり、毎ラウンド3択を選んでいく感じになります。
ストリームスのように小さい数字から大きい数字に書くゲームですが、
それ以外にも多彩な要素があります。
ウェルカムトゥは他にもシリーズが出ているため、一つ気に入れば長く遊ぶことが出来ます。
・カートグラファー(2019)
「カートグラファー」はフリップ&ライトタイプです。
カードにはテトリスのブロックのようなピースとそのピースに書き込む模様が書かれています。
自分のシートに指定されたピースの形で、指定された模様を書き込むことで自分のシートに地図が出来上がっていきます。
ゲームで指定された地図を作ることで得点が得られるパズル感の強いゲームとなっています。
このゲームで最大の特徴は、モンスターの襲来です。
カードにはモンスターが襲来したことを示すものがあり、モンスターを自分の地図上に書かなければなりません。
これは邪魔なマスとなります。
このモンスターの場所は他のプレイヤーに書き込んでもらいます。
そのため、他人が本当に邪魔なところを選んで書き込んでくるというわけです。
紙ペンゲームではあまり他人と干渉することが多くないのですが、珍しいゲームです。
そして、あまり多い回数は無いので台無しになることもなくちょうどよい具合だと思います。
■すでにボードゲームがあるゲームの紙ペン化
紙ペンゲームの中にはすでにボードゲーム版が存在し、それをスリムなルールにし、
紙ペンに落とし込んだものがあります。
また、全然違うゲームになっているものもあり、遊び比べてみるとまた面白いです。
・アルハンブラロール&ライト(2020)
建物を建てていき、その個数が多ければ得点という部分を受け継いでいるゲームです。
元のアルハンブラとは全然違うゲームです。
お金がぴったりあると連続行動という気持ちいい箇所は
コインを持っていて、かつダイスが良い出目が出ているとできるような感じになっていたり、
壁が無くなっていたりします。
・エスケープロール&ライト(2021)
リアルタイムでダイスを振って、みんなで遺跡を脱出しよう!という協力ゲームだったのですが、
ターン制になりました。
紙ペンですが、自分のいる位置という概念があり、それぞれ自分の遺跡で他人と座標を合わせ、
そこで同時にアクションを起こすと言った協力をしていきます。
独特のプレイ感で他にない感じがあり、
リアルタイムはあわただしくてちょっとな…と思っていた人はぜひ遊んでほしいです。
リアルタイムではなくなってます!
・パンドリア商人たち(2020)
タイルを引いて、ボードに置いて、自分の駒を置いて、条件が揃ったら決算をし、リソースを得て、
特殊能力を買っていく…と言ったゲームですが、
タイルはなく、こちらはダイスで地形に相当する模様を共通のシートに書き込んでいきます。
自分の駒を置く代わりに自分であることが分かる目印を書き込みます。
それ以外はボードゲーム版でやることをすべて紙ペンでやることになります。
ボードゲーム版でいいんじゃないかと思う感じですが、こちらではソロプレイが可能となっています。
チャレンジ精神を感じました。すごいゲームです。
・コペンハーゲンロール&ライト(2019)
こちらはボードゲーム版は未プレイなのですが、
テトリスのようなブロックを配置していくゲームです。
手番プレイヤーが選ばなかったダイス目をその他のプレイヤーが獲得し、
対応するゲージがたまっていきます。
これにより特殊能力を使うことが出来るようになります。
シンプルでわかりやすいゲームなので、
紙ペンをあまり遊んだことが無い人が良いかもしれません。
そして、以下のゲームはボードゲーム版は遊んだことがありますが、
紙ペンゲーム版は遊んだことが無いので誰か遊ばせてください。
・インペリアルセトラーズロール&ライト(2019)
・ラグランハノーシエスタ(2016)
■国産創作紙ペンゲーム
ゲームマーケットでも最近では多くの紙ペンゲームが登場しています。
どれも良質で、遊んでいない方はぜひ遊んでみてほしいです。
・サンフラワーバレー(2017)
・アルペンツィアン(2018)
アルペンツィアンはサンフラワーバレーというゲームのリメイクで、
絵柄が可愛くなり、いろいろな種類のシートで遊べるようになっています。
プレイ風景ではお絵描きゲームかな?と思われるかもしれませんが、
絵はそのマスが何を指しているかわかればよいもので、文字でもプレイできます。
振られたダイスを一人ずつ取っていくタイプのゲームで、
ここの絞り合いが苦しく、面白いところです。
・バスルートをつくろう(2018)
共通ボードにバスルートを書き込んでいくフリップ&ライトゲームです。
バスルートを伸ばしていくことで名所やお客さんを獲得し、それを個人ボードに記録し、
他人の通ったルートは渋滞扱いとなり失点対象になってしまうことがあります。
ここで他人とのインタラクションが特に出ています。
二人用や海外版もあるようです。
・四畳半ペーパー賽系(2019)
大学生活をテーマに、ダイスを振って出た目とダイスの色から書き込めるブロックが決まります。
このブロックを四畳半を模したマスに塗っていき、これが大学生活の思い出ということになり、
ゲーム終了時にこの思い出たちが得点になるというゲームです。
非常に厳しいルールとして、
ブロックは隣接して塗らなければならないが、同じ色は隣接できないというルールです。
これにより難しいパズルと、ブロックの色ごとの様々な得点計算が絡み合い、
悩ましい選択が常に要求されるようになっています。
ゲームマーケット後の飲み会で、
テスト版に様々なデザイナーから意見が重ねられて作られた傑作紙ペンゲームです。
・インザルーイン(2019)
指定されたブロックを書き込み、そのブロック状を自分の駒が移動していくフリップ&ライトゲームです。
ブロックが通路となり、駒を移動することで目的地を目指し、得点を得ていきます。
後半になると脱出しなければならなくなりますので、都合の良い道づくりをしていきたいです。
ゲーム序盤は非常に簡単に思え、大丈夫?と思うくらい簡単に感じますが、
終盤になると急に難しくなり、いろいろ頭を悩ますことになると思います。
インザルーインを作られているフダコマゲームズさんは他にも紙ペンゲームを
アルヴィウム、アニミズムと作られており、要注目のサークルさんです。
・ロールライト富豪(2020)
ダイスで出た目をシートに書き込んでいき、その結果がトランプの大富豪の手札となり、
その手札で大富豪をするという、その説明だと全く想像もつかないゲームです。
実際プレイ中はダイス目を書き込む位置によって、かなり手札をコントロールすることが出来、
10の8枚出しです、などという無茶な出し方もできたりします。
書き込むときは書き込み箇所を悩み、大富豪ではどのような順番で出せばよいのかが悩ましいです。
このゲームをプレイしたのがきっかけで、
自分も紙ペンで何かを再現したいと思い、豆と共にあれを作りました。
・横濱紳商伝ロール&ライト(2021)
OKAZU Brandさんの代表作である横濱紳商伝の紙ペンゲームです。
横濱紳商伝は自分にとって少しルールが多く、難しいゲームだと思っているのですが、
横濱紳商伝ロール&ライト、そして横濱紳商伝デュエルはちょうどよく、
大変面白いゲームだと思いました。
横濱紳商伝ロール&ライトは各建物に従業員というものを溜めて置き、
溜めた従業員を使用して建物を起動し、
消費量が多ければ恩恵がたくさん得られるという仕組みを紙ペンで行っています。
また、従業員の書き込みルールが特殊で各建物に1ラウンドでは2人までしか置くことが出来ません。
従業員は3人とか4人とか獲得することがあるのですが、
余った分は最初に置いた建物を起点に隣接した建物に1人ずつ配置していくことになります。
と、文章で書いても伝わらないと思いますので、ぜひプレイしてみてほしいです。
この建物の配置でサラッとレアリティを再現しているのもすごいと思います。
また、OKAZU Brandさんは他にもメトロックスや、ローリング○○シリーズも作っています。
そして、以下のゲームは遊んだことが無いので誰か遊ばせてください。
・ライリウム(2021)
少しルールを読んだ感じだと、スカラビアに似た紙ペンゲームのようです。
■おすすめの紙ペンゲーム
ここからは、本気で自分の好みを爆発させた、遊んでほしい紙ペンゲームを紹介します!
ちなみに、要素多め難しめの紙ペンゲームが好きです。
・ツカナ諸島の小道(2019)
紹介する中では簡単なほうのゲームです。
フリップ&ライトのゲームで、カードを毎ターン2枚めくり、そこには地形が書かれています。
自分のシート上で書かれた地形二つが隣接している箇所を探し、それを線でつなぎます。
これを繰り返し、シート上にある村と村、村と財宝を繋ぐことで得点を得ます。
このゲームの面白いところは何といってもコンボ。
村と財宝を繋ぐと得点を得ていくのですが、1種類の財宝をすべてつなぐと好きなところに1本線が書けます。
これは制限が無く、これにより別の財宝がすべて集まったりすれば、
また1本と連鎖的に何本もかけてしまうことがあります。
毎手番あまりうまくいかないことが多く、この瞬間の解放感はたまらないものがあり、
続編も発売するということで、そちらも期待しています!
・トロワダイス(2020)
ボードゲームのトロワの紙ペンゲームといった感じで、
ダイスを振って、そのダイスを円形のボードに配置します。
高い出目ほど選ぶのにコストがかかり、
選んだ出目は建物の建設か、リソース獲得に割り振ることが出来ます。
建物には様々な効果があり、途中降りかかる災難を防ぐもの、
得点を増やすもの、リソースを得るものなどがあり、どれを建てるのかが楽しいです。
他人との関わり合いはなく、サクサク進むのも良いです。
このゲームのダイスの動きを見て、
豆と共にあれの統治者の動きと、
テラミスティカの地形リングが脳内でリンクしました。
・ブルゴーニュダイスゲーム
ボードゲームのブルゴーニュの紙ペンゲームとなっていて、
ブルゴーニュ自体もダイスゲームなので、ちょっと何を言っているかわからないタイトルです。
ブルゴーニュを本当にスリムにした感じのゲームで、
毎ラウンド、数字が書かれたダイス2個と色の書かれたダイスを2個振り、
色1つ数字1つ選び、組み合わせを作ります。
色は建物を指し、数字は建物に書き込む数字となります。
建物によってはこの数字では書き込めないなどの制限があるため、
いつでも受け入れできるようなシートの書き込みが要求されます。
また、ラウンド管理用のダイスも1つ振ってラウンドが進行します。
これは出目が1と2があり、1がでるとラウンド進行が遅いですが、
2が出たときにボーナスが得られる時があります。
書き込むだけでなく、ボーナスアクションを得ることが出来、
「色を変える」「出目を変える」などを溜めておいて、
ここぞというときに使う管理みたいなものも楽しめます。
ブルゴーニュと比べてしまうとちょっと単純で、
重たいゲームを求めている人には物足りないかもしれませんが、
自分は紙ペンゲームとしてはとても好きなゲームです。
ちなみにブルゴーニュはどれも好きです。ブルゴーニュカードゲームも。
・フリートダイスゲーム第ニ版(2020)
2021年に突如として現れ、自分の難しい紙ペンゲームが好き!という心に火をつけたゲームです。
船を強化して、魚をたくさん釣るゲームです。
ダイスを振って、各プレイヤーは1つずつダイスを取り、その出目のマスを塗ります。
そして、誰も取らなかった最後のダイスも全員が塗ることが出来ます。
これにより、船を強化したり、港の設備を強化したり、
船の免許を取ったりすることでプレイヤーはどんどん強くなります。
船を強化すると、魚をたくさん格納できるようになります。
港の設備を強化すると、勝利点や特定の出目を別の出目に変えられるようになったり、
決められた回数以上漁に出かけたりできるようになります。
そして、極めつけは船の免許。
船は複数種類あり、どの免許を取るかで得られる能力が変わります。
特定の行動をする度にお金がもらえる、お金の収入が増える、漁の後に追加アクションする、
どれも気持ちいいものばかりです。
さらに、お金。このゲームはお金は使うところはなく、たまる一方です。
お金が一定額までたまると追加アクションとして好きなマスを塗ることが出来ます。
ツカナ諸島の小道でもあった、コンボです。
こちらはコンボに入る頻度が多く、コンボに次ぐコンボ。
どのような強化ルートがあるのか色々試したくなる、面白い紙ペンゲームです。
・ハドリアヌスの長城(2021)
2021年、自分が遊んで面白かったゲームは何か?
そう聞かれたらもちろんこのゲームの名前を挙げます。
他人との関わり合いはほぼありません。
そして、そこそこ大き目なシート2枚を持ち、ラウンドの最初にリソースを受け取ります。
その後、そのリソースを使って様々なトラックを進め、進めると素材がもらえ、
その素材でまたトラックを進め…全員の気が済むまで成長を行います。
ラウンドの終了時に、蛮族が自分たちの壁にやってきます。
蛮族の攻撃を自分の壁が耐えきれれば追加点、そうでなければ失点を受け、
次のラウンドでまたリソースをもらい…というのを繰り返します。
情報量は膨大、紙ペンでやる意味あるか?、他人との関りは殆どなく人と一緒に遊ぶ意味あるのか?
といろいろな意見はあると思います。
自分は、まず「よく紙ペンでここまでやろうとしたなぁ…」と感心しました。
たしかに一人遊びをしているだけの感じは強いですが、
この規模を紙ペンで作ろうと思っても、作ろうとも思わないし、作れないと思っていました。
遊ぶ人から色々な意見が出ることも考えてしまうし、
それを実現し、完成したことが本当にすごいと思いました。
「豆と共にあれ」も作る時に非常に葛藤がありました。
しかし、「ハドリアヌスの長城」があるから大丈夫、そう言い聞かせて作りました。
自分は勝手にほとんどの人は「ボードゲームの面白さ」は
「他人とのインタラクション」だ!と言っていると思ってました…。
でも、自分はそれだけではないと思います。
「ゲームがプレイヤーに返してくれるリアクション」は他のプレイヤーがいなくても成立するもので、
他人とのインタラクションがあるゲームにも採用されています。
このゲームはゲーム史上でその点を限界まで突き詰めたゲームなのではないかな…と思います。
ゲーム史上は言い過ぎかもしれませんけど…。最強とか頂点とか尊敬しちゃいます。
■最後に
非常に長文になりましたが、2021年はもうすぐ終わろうとしております。
この一年のボードゲームライフ、いかがだったでしょうか?
来年も面白いゲームがたくさんでて、遊んでいけたら幸せです。
それと現状、新作は影も形もアイディアもありませんが、
旧作の「老師敬服」「マメィ」「プロジェクトユニバース」は手に入りますので、
そこら辺を遊んで、良かったら待っていていただけると嬉しいです。
だらだら続けてしまいそうなので、ここでおしまい!