2015年05月15日

「ドラゴン」デザイナーズノートその3

 前回の記事はこちら
 
■ドラゴンの簡略化
 ドラゴンを語るうえで外せない要素、ドラゴン。
 最初のテストプレイでのドラゴンは、
 ある程度決まったルートでしか成長できませんでした。
 
 ドラゴンの初期状態を「幼年期」とし、
 「幼年期」から「少年期」のドラゴンに成長できます。
 「少年期」から「青年期」、
 「青年期」から「成年期」、
 「成年期」から「老年期」へと成長していくわけです。
 
 自分のドラゴンが次に成長できるのはどれか、
 これを調べるのがとても面倒だったため、ルート決めることはやめました。
 この要素はスーパーファミコンの「サンサーラナーガ2」に影響されていました。
 
 さらにドラゴンにはテキスト効果がありました。
 
 頭側に書かれているテキスト効果と
 体側に書かれているテキスト効果を組み合わせた能力を発生します。
 
 頭側「最後のバトルで」
 体側「1金余計に得る」
 
 のような感じで二つの言葉がかみ合わないとまったく効果がありません。

 かみ合うと強力なのですが、
 そろえるのが難しく、処理を忘れやすかったのです。
 忘れる程度のものならいらないだろうということでカットしました。
 この要素はプレイステーションの「ドラゴンシーズ」に影響されていました。
 
 ドラゴンには3つのパラメータがあります。
 それ以外に
 空が飛べるとか泳げるといった特徴を持たせたことがあります。
 
 これは何に役立つかというと、
 「冒険」というアクションのためです。
 
 「冒険」とは場に数枚、
 冒険に行ける秘境カードなるものがあり、
 ここへはドラゴンのパラメータが十分であった場合、
 1か所を攻略でき、勝利点を得るといったものです。
 
 しかし、
 @「仕事」で育てるリソースを稼ぐ
 A「狩り」でドラゴンを育てる
 B「冒険」で勝利点を獲得する
 といったステップはなかなか面倒で、
 秘境カードはランダムで数枚オープンにしており、
 誰かがクリアするたびに捨て札となり、
 新たな秘境カードがオープンされます。
 そのため、
 必要な能力がコロコロ変わってしまい狙えませんでした。
 
 秘境カードを全オープンした状態も試しましたが、
 情報量が多すぎるため「冒険」は無しにしました。
 なかなかテーマ的に熱い要素とは思いますが。
 
 現在のドラゴンの成長方法は、
 列の一番手前にあるドラゴンから選べるようにしていますが、
 全てから選べるようにしていた時期もあります。
 
 その都合でサマリーカードを作成し、
 全種類のドラゴンの能力とコストを見て分かるようにしたのですが、
 そのサマリーを見て、逆にげんなりしました。
 
 全てから選んでできることは、必ずしも良いとは限らず、
 ある程度制限したほうが良いと感じ、現状のルールになりました。
 
 そんなわけで
 ドラゴンの成長先の選択は
 4列の一番数値の少ないものから選び、
 ドラゴンの能力は
 3つのパラメータのみになりました。
 
 攻撃力:相手に与えるダメージ数
 体力:ダメージを耐える力
 速度:相手よりも大きい場合、先にダメージを与えられる
 
 成長でこだわった点として
 成長したドラゴンは成長後の強さになるのではなく、
 成長過程のパラメータも考慮したいと思っていました。
 
 たとえば、
 Aさんのドラゴンは攻撃特化の姿をしている。
 なぜか速度もすごく速い。
 それは以前に素早いドラゴンに成長したことがあって、
 その遺伝子が残っていて、それが受け継がれているから。
 
 成長するとAはBになる、
 そしたらAのことは忘れていいのか?
 
 Aだった思い出とか素質みたいなものがあったと思います。
 だからAだったころの能力も残しておきたいと思い、
 加算型の成長システムにしました。

■精霊の誕生
 「仕事」の方向性、
 「ドラゴン」の簡略化が済んでから、
 何回かテストプレイをしていくうちに、
 ハッピーゲームズのRYOさんにもプレイしていただきました。
 
 その時に、
 ドラゴンが建物(仕事場カード)で強くなるというのが違和感だったようで、
 建物ではなく妖精とかにしたらどうかという助言をいただきました。
 
 妖精にした場合は、
 「仕事」というよりも「いのる」とか「お願い」かな?
 というわけで「仕事」は名前を変えることになったのです。
 
 そして自分は確信しました。
 妖精…あの豆の妖精しかいないな。
 
 豆の精霊たちが誕生した瞬間でした。
 
 つづく
posted by やざわ at 22:36| Comment(0) | 自作ゲーム:ドラゴン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「ドラゴン」デザイナーズノートその2

前回の記事はこちら

■ドラゴンで挑戦したかったこと
 ドラゴンを作っていくにあたって、
 最終的な目標だなと感じたことは、

 「プレイヤーが他人に収入をあげることに対して、
  どれだけ壁を低く感じさせることができるか。」
 
 何のことかさっぱりだと思います。
 
 ゲームをするうえで、
 無償で他人のプラスになるようなことは抵抗があると思います。
 
 でも、逆にプラスになるようなことをされたら、
 とても嬉しいと思います。
 
 それは、このブログを読んでくれている豆を愛する皆さんなら
 察してくれていると思います。
 
 いかに他人から思わぬ収入を得つつ、
 プレイヤーも抵抗なく他のプレイヤーに報酬を与えることができるか。
 これを何とか実現できないかなと思いました。
 
 そして色々あって、
 製品版の「いのる」というアクションに落ち着きました。
 
 「いのる」とは
  精霊の力を借り、素材を別の素材に変換します。
  自分の精霊の中から1体の力を借りる、
  他人の精霊の中から1体の力を借りる、
  またはその両方の力を借りることができます。(つまり最大2回)
  
  自分の精霊を使う場合は、使用する素材は銀行へ
  他人の精霊を使う場合は、使用する素材を他人の精霊の上に置きます。
  
 では、この「いのる」が「仕事」からどう変わっていったのか、
 思い出していくとします。
 
■仕事の改善
 最初のテストプレイ後、
 仕事について悩んだ自分は、
 「ケイラス」を参考にしました。

 建物を誰かが使ったら建物の持ち主に報酬がある、
 という「ケイラス」のシステムだけを切り取り、
 それらで稼いだリソースで勝利点になりうる成長を行う、
 といった感じになったらいいなと…。

 単なる勝利点という記号ではなく、
 個性があったら面白いなと思ってドラゴンはそのままにしました。

 仕事はさまざまなバージョンを試していきました。
 
 @回数制
  一度使われた仕事場は誰も入れなくなるというものではなく、
  ○回までOKという回数制限をつけてみました。
  しかし、逆に当時の仕事は、
  仕事をする側に回数制限がなく、あっという間に埋まってしまいました。
  仕事をいっぱいしたいという要望に応えていた結果です。
  
  何回入ったかもいちいち支払われたコストを見て
  数えるのが面倒ということもありました。
  
 Aワーカー制
  一番異色な時期です。
  回数制を視覚化しようとしました。
  カードをワーカーの代わりに使用し、
  何回この建物が使われたかわかるようにしようと思いついたのです。
  
  アクションカードはこのときはなく、
  ドラゴンカードすらも消滅していました。
  
  仕事が面白いといわれていたため、
  仕事に特化しようと考えたためです。
  
  全てのカードが建物カードとなり、
  裏向きで使うとワーカー代わりになり、素材がもらえる。
  表向きで使うとコストを払って仕事場が建設できる。
  もちろんワーカーとして使ったカードは他人の物に。
  
  しかし煩雑すぎる、使えないカードがぐるぐる回る。
  おもしろくない!
  
  この時、ドラゴンはお蔵入りになりました。
  (当時のコードネーム:市民)
  
 Bワーカー制2
  お蔵入りを決める直前くらいに思いついたバージョンです。
  完全に迷走していました。
  
  カードでわかりづらいなら、駒でやったらどうか?
  ということで、カードの上に駒を乗せてみたりしました。
  
  いやー、おもしろくなかったです。
  
  本当にテストプレイをしていただいたみなさん、
  申し訳ありませんでした。
  
 Cコストアップ制
  Bから随分時が過ぎ、
  G2さんに、
  「プロトタイプのドラゴンが一番とがっていてよかった。」
  ということをいわれ続けていたため、
  「本当に面白かったかどうか、確かめてみますか。」
  ということで
  「たねまき」の新版の販売を終えたころ、
  ドラゴンを久しぶりに引っ張り出しました。
  
  その時に前のままではよくないと思い、
  いくつか修正を入れてみました。
  
  まず、自分の仕事場をつかえるようにしました。
  コストは仕事場の上に支払います。
  
  一度使われた仕事場に素材を置いておき、
  次に使う人はそれよりも多くのコストを払うことで
  何回でも入れるというものにしました。
  
  素材がどっさりのっている時の処理が面倒で却下になりました。
  さらに、仕事場の持ち主が過剰に儲かってしまうという事態に。
  
  そして、共通のみんなが使えるお店を追加しました。
  これは誰のものでもなく、
  変換レートは悪いものの何でも買えるお店です。
  
  しかし、これは失敗でした。
  高すぎればお店を使わなくなり、
  安すぎればお店に行き、他人の仕事場に行かなくなるのです。
  おそらくちょうど良い値段に調整したところで、
  お店を選ぶことになるでしょう。
  
  値段調整を何回かしましたが、カットしました。
  
 C回数制2
  原点回帰です。
  コストアップ制で実験的に入れた
  「自分の仕事場を使える」は悪くないと思いました。
  
  仕事を行う側に回数制限を持たせ、
  思い切って仕事場は使用されても
  同じコストで何度でも使えるようにしました。
  
  仕事に行きたい仕事場を1か所選び、そこに仕事へ行く。
  コストは仕事場の上に置く。
  
  このようなアクションになっていました。
  
 D最後の詰め
  仕事アクションで気になっているところがありました。
  
  回数制2の時点で
  自分の仕事場にコストを払うときは銀行へ、
  他人の仕事場にコストを払うときはその仕事場へ払うようにしていました。
  
  支払方法が違うことがどうにもややこしい。
  
  でも、これについては目をつぶりました。
  
  どちらの仕事場の場合もコストを乗せるタイプに寄せた場合、
  自分の仕事場にコストを乗せれば永久機関になってしまう。
  これがどうしても気に入りませんでした。
  
  どちらの仕事場にもコストを置かないほうに統一した場合、
  収入をどのように得ればいいのかという問題があります。
  
  使われた時の収入をその場でもらうのか?
  そうなると休むが手札を戻すだけで嬉しくない作業になってしまう。
  
  いくらもらうのかカードに情報が必要では?
  しかし、自分が使ったときもらったら永久機関になるため
  自分のカードに書かれた情報は見なかったことにして
  収入は貰わないようにするルールに…?
  
  結局どこかで目をつぶらなくてはいけないのか、と。
  
  で、なぜかは分からないのですが、
  当時の自分がやけくそになったのか、
  この時仕事アクションを拡張して、
  
  相手の仕事場に行ける、
  追加で自分の仕事場に行ってもよい。
  
  というルールに変えてみたところ、
  自分の中で納得ができるアクションになりました。
  
  「追加で」自分の仕事場へ行ける
  という縛りは正直いらないなと思い、
  どちらの仕事場をを使ってもいいし、
  順不同で両方使ってもいい、という風になりました。
  
  今まで、
  他人が良い仕事場を持ってさえいれば良くて、
  自分はいい仕事場を持たなくてもよい、
  だから仕事場を買い替える必要はない、
  仕事場を誰も買わない、という問題がありました。
  
  このルールに変えたことで
  自分もそこそこ良い仕事場を持たなければ
  素材のコントロール能力が弱くなってしまいます。
  
  さらに2回仕事ができるようになったことで、
  2回行かないと損をしたように感じるのです。
  
  プレイヤーが
  「アクション数が少なくて損をしている」→「仕事をしたい」という気持ちが、
  「他人の仕事場へ収入を与えたくないな…。」という気持ちを超えた瞬間でした。
  
  これはいい落としどころだなと思いました。
  
  「仕事」から「いのる」に名前が変わった経緯は次回にて!
  
  つづく
posted by やざわ at 01:32| Comment(0) | 自作ゲーム:ドラゴン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月14日

「ドラゴン」デザイナーズノートその1

「ドラゴン」の原案は2013年の5月ぐらいからすでにあり、
2013年の7月「たねまき」の2人用発売前からテストプレイしていました。

■はじめに
 当時、たねまきの次はタイムトレジャーのリメイクを考えていました。

 タイムトレジャーとは、東京ドイツゲーム賞に応募したゲームで、
 タイムマシンをテーマにしたカードを使ったすごろくです。
 
 それを改良して、
 遺跡を脱出しながら財宝を集めていくカードすごろくで、
 1〜6の移動カードで走るペースを調整して進み、
 途中の財宝を拾いつつ、
 休んで使ったカードを回復みたいなことを考えていました。

 それと同時期に、
 ワーカープレイスメントに対する個人的な疑問がありました。
 俺が素材を買うために払ったお金は誰の手に行くのか?
 その業者が儲かるのが普通じゃないのか?
 
 そこでふとプレイステーション用ゲーム
 「モンスターファーム」を思い出しました。
 
 プレイヤーはモンスターの牧場を経営して、
 その牧場でモンスターを成長させ、頂点を目指すという感じの内容です。
 
 モンスターファームの育成手段の一つで「仕事」というものがあります。
 仕事を行うと、
 自分のモンスターを派遣して派遣先から報酬を得つつ
 仕事内容によってモンスターが成長するという要素です。

 依頼者はモンスターの持ち主に報酬を支払うことで、困ったことを解決してもらいます。
 モンスターの持ち主は報酬をもらいつつ、モンスターが成長するのです。

 こんなかんじでお金をプレイヤー間で回せないだろうか?
 
 というわけで、
 プレイヤーはモンスターの牧場を持ち、
 それぞれのプレイヤーの牧場に仕事に行ってあげて、
 仕事した結果報酬をもらったり、モンスターが成長したりする。
 仕事された結果、その牧場のプレイヤーにもうれしいことがある。
 そんなゲームを作ろうと思いました。
 
■最初のテストプレイ
 モンスターはこの段階でドラゴンになっていました。
 頭と体に分かれているのもこの段階からです。
 
 4枚のアクションカードから1枚を選び、
 対応する以下のアクションを実行します。
 
 「仕事」 :他人の持つ仕事場へ仕事をしにいく
 「買い物」:お金を払って仕事場や素材を買える
 「訓練」 :ドラゴンを成長させる
 「休む」 :使ったカードを回収し、横向きの仕事場カードを縦にする
 
 最初は各1枚ずつでしたが、
 「いのる」アクションの原型である「仕事」アクションは
 1枚だと本当に足りなかったため
 枚数を1〜3枚で試して2枚になりました。
 
 「仕事」は他人の持っている仕事場カード(精霊カードの原型)へ
 仕事に行って、即座に報酬をもらいます。

 経費や食料を仕事場の持ち主に支払う必要があります。
 一度仕事された仕事場カードは横向きになり、
 使用できなくなります。
 
 横になった仕事場カードは
 「休む」アクションで横向きの仕事場カードを1枚縦にでき、
 縦にしたときに仕事場の持ち主は報酬がもらえます。
 
 当時の仕事は二つ問題点がありました。
  1、一度仕事された仕事場は持ち主が回収しなければ誰も使用できない
   仕事したくてもできないことが多く、
   複数人プレイで試したとき、
   手番順でほぼできる仕事が決まってしまっていました。

   誰かが休んだ後その次のプレイヤーが
   回復したばかりの仕事場へ仕事に行く、という流れの繰り返し。
   これはよくない状況でした。
 
  2、他人の仕事場にしか行けない
   せっかく良い仕事場を買っても、
   自分はいけないため買う意味がない、
   仕事場が増えない、
   結果仕事できないという、
   全体的に仕事をしたくでもできない状況が多発していました。
 
 当時はとりあえずはたねまきに集中しよう、
 という流れになったと思います。
 
 問題点は多く、ゲームとしては破たんしていると思います。
 しかし、仕事アクション自体は駒のやり取りがとても面白く、
 テストプレイをしてくれたG2さんの心に深く刻まれたようでした。
 
 つづく
posted by やざわ at 00:49| Comment(0) | 自作ゲーム:ドラゴン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする