説明書に関しても書いておこうと思います。
プロジェクトユニバースの説明書は16ページあります。
それに加えて、両面印刷のサマリーもあります。
そして、日本語と英語のものが同梱されています。
(ちなみにサマリーは途中で必要だろうと判断し、足すことにしました。)
■スケジュール
以下の工程が必要だと脳内でなんとなく想定しました。
1, 初稿完成(やざわ)
2, 校正(HAL99さん)
3, 校正の修正(やざわ)
4, 校正の確認(HAL99さん)
5, 英訳資料の作成と発注(やざわ)
6, 説明書の英訳(saigoさん)
7, 資料と英訳の過不足確認(やざわ)
8, 資料確認後の修正(saigoさん)
9, 日本語/英語のテキスト流し込み(長谷川さん→井上磨さん)
10, 説明書用の図素材の切り出し(長谷川さん)
11, 図の当て込み(長谷川さん→井上磨さん)
12, 最終確認(やざわ、HAL99さん、saigoさん)
13, 最終確認の修正(長谷川さん→井上磨さん)
13, 最終確認の修正確認(やざわ)
文字にしてみると大変な量の作業があります。
実際に大変な量だったと思います。
■初稿
初稿となる説明書は自分が作成します。
PowerPointで作成しており、図はネット上から適当なものをあてがったり、
図形を組み合わせて自分で作成します。
こんなようなファイルを2019年の1月、
年末年始の休みを利用して作成しました。
初期はアートがドットになるかもしれないということで、
8ビットユニバースというタイトルにしていました。
■説明書にかける想い
説明書の書き方は人それぞれだと思います。
そして、「飲み込みやすい説明」の感じ方も人それぞれだと思います。
なので、ここで書くことは必ずしも正解ではないと思います。
自分がどんな想いを持って説明書を書いているかを記録として残します。
■説明書は必要?
まず、根本的なところですが、
なんでルールを書き記す必要があるのか?というところです。
それはゲームを遊ぶためにルールを知る必要あるからだと思います。
当たり前のことですね。
でも、人によってはルールなんて知りたくない、楽しい体験がしたいだけ、
みたいな人がいるかもしれません。
そういった人には説明書は必要なく、説明してくれる人がいればいいわけです。
動画に残された資料や、ルールを知る人(作者とか)に聞いたりすればいい。
だからわざわざ書き記す必要なんてないのでは?ということも考えられます。
自分は自分が死んだ後や、現状のメディアが使えなくなっても遊べるように、
書き記していると思っています。
もしかしたら紙を読む必要のない、
視力を超越した感覚が未来で発見されるかもしれませんが、
そこまでの想像力は自分にはありません。
■目的
次になんでルールを知る必要があるの?というところです。
それはゲームに参加する人全員の共通目標が「好奇心を満たすこと」である、
と考えているからです。
好奇心にもいろいろと種類があると思っていて、
・どんなルール、仕組みが使われているのか知りたい
・ルールなんて知らないけど、とにかく未知の体験をしたい
・前回遊んだ経験を生かした手法を試したい
これらの好奇心をゲームに参加している全員が
円滑に満たせるようにしたいと思っているに違いないから、
ルールを知る必要がある…と思って自分はルールを書いています。
■勝利条件
自分はプレイヤーの勝利を目的にしてルールを書いていません。
なので、何をすればいいのかという答えを説明書上で解説する気がありません。
勝利条件については最初に少し触れるのですが
得点をとったら勝ちとだけ説明し、
得点をどうやったらとれるのかはすぐに説明していません。
それは同じ説明をしないようにするためです。
どうやって得点をとるの?
→依頼を達成すると取れる
→どうやったら依頼をとれるの?
→依頼獲得のアクションをする
→どうやったら依頼獲得のアクションができるの…
と最初に結論から説明したところで疑問が尽きず、
逆に頭に入らないのではないかと思っています。
それと、この手法で説明した後、
結局また同じ説明をすることになると余計に頭に入らないだろうと思っていて、
流れで1度だけ説明することにしています。
説明書のページ数も節約できるので…。
ただ、今回は何度か同じことを書いているところもあります。
それは説明する頃には忘れていそうな要素を再確認させようとしているためです。
■説明を受ける人の視点
自分がゲームを遊んでいるときに一番重要な瞬間と感じているのは、
「自分の順番が回ってきた時」だと思っています。
あくまで自分の場合ですが、
もし、自分の番で何ができるのかわからないという状況になったら、
ルールを説明してくれた人に申し訳ないという気持ちや、
自分の理解力のなさを恥ずかしく思ったりしてしまいます。
そんなわけで自分の番が回ってきたときに何ができるか、
を特に重視して説明書を書いています。
あと、見出しをこまめにつけるように気を付けているつもりです。
ゲームのプレイ中にわからないところがあった時は説明書を見ると思います。
そんな時は大きい見出しがあると助かる、と思っているからです。
■校正
話を戻します。
ルールの校正は老師敬服、マメィに続き、
HAL99さんにお願いしました。
1月に自分の初稿を書いたわけですが、
まだそのころテストプレイも同時に進行していました。
3月にルールが完全に決まり、
4月〜5月にかけて最終ルールの修正と同時に
1月からゲームマーケット春でのマメィの再販に向けて動いていました。
5月にゲームマーケット春が終わり、
6月から本格的にHAL99さんの校正が始まりました。
説明書に対してきた修正点や疑問点を解決しつつ、
説明書に反映し、再度確認してもらうという作業を7月の中旬まで行いました。
■英訳
こちらも老師敬服、マメィに続いてsaigoさんにお願いしました。
今回長時間のゲームで、テーマが宇宙ということで、
国内よりも海外の人の方が好きかもしれないと思い、
英訳は絶対にしなければいけないなと思いました。
7月の中旬まで校正作業をしたのち、
そこからテキストだけを抜き出したファイルを資料として作成し、
saigoさんに送りました。
その間、修正があった場合は修正した個所を知らせる資料を送り、
9月上旬まで作業をしていただきました。
saigoさんから送られてきた英訳ファイルを見て、
こちらの用意した文章と数が合っているか、
ざっくりとおかしなところがないかなどを確認しました。
自分は英語がわからないので…。
■テキスト流し込み
説明書の文字を綺麗に整えてレイアウトをしてくれたのは
マメィでアートを担当してくださった井上磨さんです。
当初、長谷川さんにお願いしようと思っていたのですが、
絶賛アート作業中でそちらに取り掛かれる状態ではなかったのです。
「自分でやるか、磨さんに頼むかしてほしい。」と言われ、
ここまで完璧な状態で来ていて、
自分のような素人が作った見た目の説明書を
このゲームの箱に入れたくないと思ったのです。
ということで、ものすごく大変な作業と知っていたので、
申し訳ない気持ちでいっぱいで井上磨さんにお願いしました。
文字の流し込みとそのチェックはもちろん大変でした。
16ページが2冊、それを何度も何度も読みました。
そして、特に印象的だったのが図の割り当てです。
長谷川さんとはテストプレイも何度もしていて、
自分の適当に割り当てられた図が何を指しているのか把握されていましたが、
磨さんは一度もプレイしたことがなかったので、
どの図がどの絵素材を指しているのかわからなかったのです。
自分は説明書の中で図をたくさん入れたがります。
作者は内容物名や項目名を知り尽くしていますが、
遊ぶ人はその名前を出されても、すぐに何を指しているかわからないと思います。
いちいち内容物の項目で確認してもらうのも手間です。
そのため、図で「これをこう置く」と指示しないとわからないだろう…と
たくさん図を入れてしまうのです。
結局、図の切り出しは長谷川さんが行い、
自分は磨さんに最新の絵素材に切り替えたバージョンの説明書を送って、
それらを見本に作成していただきました。
9月〜10月の頭まで作業をしていただきました。
そして、出来上がった説明書は再度、
HAL99さん、saigoさん、自分で確認しました。
■突然の締め切り
自分は締め切りを大体10月の中旬、12日らへんと考えていましたが、
印刷所の方から連絡があり、
11月2、3日に到着なら9月30日までにデータを送ってと言われました。
9月30日はさすがに無理だ!ということで、
ギリギリの11月16、17日到着指定でどうか聞き、
10月6日まで締め切りが延びました。
しかし実質短くなってしまいました。
詰めが甘く、大変な目に合わせてしまい申し訳ありませんでした。
■最後に
説明書を完成させることに1年近く費やしてしまいました。
それでもわかりづらいところ、飲み込みづらい表現があるかと思います。
それは完全に自分の力不足だと思います。本当に申し訳ありません。
そして、自分は他の人が書いたゲームの説明書を読むのが好きです。
その中でわかりづらいけど何とか知らせようと努力しているのが感じられる説明書はとても好感を持ちます。
逆に文字だけで書いてあって、回りくどい表現で、
図も無しで放置されているのを見ると、心の底からガッカリしてしまいます。
そんな製作者さんたちに自分から言いたいことは、
「最悪、手書きでもいいので、図を入れて!」です。
ここまで長い文章を読んでいただきありがとうございました。