「老師敬服〜正派対邪教〜」は「老師敬服」の2人専用のゲームで、
ゲームマーケット2022秋で発売しました。
「老師敬服」は3〜5人用で、
周囲の反響から5人がベストとされているのを目にしていて、
逆に人数が少なくなって面白いわけがないだろう、
そう思われるかもしれません。
自分も当初、
「老師敬服」をプレイ人数に2人を書かなかった理由は
2人でやっても面白くないと思ったからです。
どの様に調整、変更して発売しようと思ったのか、
まとめていこうと思います。
長文になると思います。
「老師敬服」について知りたい方はこちらを見るなりして、
調べてもらえればと思います。すみません。
■老師敬服の人数について
前述しましたが、
「老師敬服」が5人ベストとされている理由として、
・遊ぶとスタートプレイヤーがまんべんなく回る
・たくさんの人がアクションタイルを出し、選択肢や総アクション数が増える
というところが大きいのではないかと感じています。
「老師敬服」はそのままのルールで2人で遊ぶことが可能です。
しかし、2人で遊んだ際は相手プレイヤーを敬服することがありません。
厳密にいうと以下の理由から敬服したいと感じないのです。
・敬服する際、唯一の対戦相手に0.5点を与える
・敬服されたら素材がもらえるケースがあるので効果的にはそれ以上の効果がある
敬服をしない「老師敬服」など、それは「老師敬服」ではないと思います。
また、ランダムな手を打つNPCを追加するということも考えました。
こうなると、勝敗に関係ないNPCにのみ敬服することになり、
相手に敬服されない「老師敬服」も「老師敬服」ではないと思いました。
上記の理由から「老師敬服」は2人で遊ぶことは無理だと思っていたわけです。
■着想
ある日、紙ペンゲームの一種である
「エクスプローラーズ」というゲームをプレイしました。
https://boardgamegeek.com/boardgame/330174/explorers
紙ペンゲームは好きです。
手番では親がタイルを引き、めくります。
この時上下に地形が書かれていて、
どちらの地形を3マス塗り進めたいか親は選びます。
子は親の選んだ地形を2マス塗るか、
親が選んでいない地形3マスを塗るかを選びます。
親は自分のアクションを選ぶとともに、
子が有利に使えるアクションを選んでいるのです。
この上下に地形が書かれたタイルを見て、
「老師敬服」のアクションタイルを思い出しました。
「老師敬服」のタイルを使って、
自分のアクションを選びつつ、
もう片方を相手に使わせることで、
2人で「老師敬服」をできないかなと思ったのです。
2人で遊ぶと極端にアクション数が少なくなるところを、
1手番に両者が1アクションずつすれば、
アクション数も増え、
2人ながら4人分のアクション数は確保できるのではないか…と。
これが「老師敬服〜正派対邪教〜」に実装された
「子アクション」の着想であり、
ここからこのゲームを作るぞ!という気持ちになりました。
■敬服問題
前述しましたが、2人だと相手を敬服しないと思っていました。
ところが「子アクション」を試しに実装してみたところ、
敬服して相手のアクションをすることに加えて、
「子アクション」を行うというのはかなりの魅力になりました。
これは2人でプレイしても敬服したくなるんじゃないかという可能性を感じました。
そのため、
各タイルは敬服して両方のアクションをした時に相性が良い組み合わせ
に調整をすすめました。
このあたりで敬服の方向性が定まってきます。
「老師敬服」は敬服はもちろんしたいものの、
どちらかというと他プレイヤーから敬服されたいと思うゲームです。
「老師敬服〜正派対邪教〜」では
相手を敬服したくて仕方がないゲームにしようと思いました。
人を誉める人は誉められた人よりも偉い、自分はそう思います。
誉める人がいなければ人は誉められないからです。
弟子の能力も敬服されたら発動する効果は廃止し、
敬服したら発動するようにして、
とにかく敬服したプレイヤーをシステム側から褒め称えるようにしたのです。
相手の都合は分からないけどひたすら敬服し続け、
もれなくすべてのアクションが出来ればあなたは勝利できるでしょう。
そんなことができれば…の話ですが…。
とにかく、
「老師敬服〜正派対邪教〜」ではそれぐらい敬服は強力なものになったのです。
■アクションプロットの廃止
「老師敬服」といえば、アクションプロットが面白いところと思っているのですが、
2人でプレイするにあたり、大体同じ手をプロットする事になるだろうと考えました。
これは多人数でプロットしていたのに救われていたところです。
似たようなアクションが打たれると、敬服したくなくなります。
それであれば2人交互に手札から打つスタイルに変えようと思いました。
これはこのあと浮上するアクション不足問題の改善にもつながっています。
■アクション不足問題
5人ベストの理由の一つにスタートプレイヤーの回数が均等という物があったため、
「老師敬服〜正派対邪教〜」ではラウンドは4で終了します。
「老師敬服」より短いです。
結局、子アクション足してもラウンド少ないためアクション不足感は否めません。
ラウンド数ではない箇所で
「老師敬服」よりアクションを加速させることが出来ないかと考えました。
偶然にもアクションプロットを廃止したことにより、
獲得した奥義タイルを次の手番に打てるようになりました。
「老師敬服」は事前にプロットしていたアクションを解決していくため、
獲得した奥義は次のラウンドにならないと使えないようになっています。
細かいところですが少しだけレスポンスが早くなった要素です。
次に弟子の効果です。
これもアクションプロットを廃止したことにより、一部効果を再考する必要がありました。
ほとんどの効果は単純に、獲得時に素材を得る物にしました。
素材を払って、別の素材を得る、ただそれだけなのですが、
一時的な変換アクションになっており、弟子を取ると同時に素材を得るという
2つのアクションを内包したものになっています。
弟子の効果に関しては個人的に気に入っていて、
素材変換していると同時に勝利点につながるような仕組みになっています。
これは「老師敬服〜正派対邪教〜」の制作前に考えていた別のゲームの仕組みで、
大好きなゲームである「ファラオン」の青いカードのようなことを考えていました。
あ!重要なことを忘れていました。
「老師敬服」では弟子と奥義が増えると1ターンに行えるアクション数が増えていきました。
それを「老師敬服〜正派対邪教〜」では撤廃しています。
自分としてはアクション数が相手の方が多くなった瞬間に、
もう勝てない、と思って投げだしてしまうのではないかと思ったからです。
「老師敬服」で自分だけ2回しかアクション出来なくなった時、
「もうおしまいだ…」と感じたことは何度もあります。
そのため相手と自分でアクション数に差がつかないようにしたかったというのが主な理由です。
3回アクション出来れば十分で、5回以上のアクションは多いと感じています。
そのため回数は3回固定にしています。
■弟子
弟子の効果には少し触れましたが、
アクション数が増えないことで「老師敬服」より取る魅力が減りました。
相変わらず失点がついてるので、いずれ鍛えて得点化しなければなりません。
当初おまけ程度に考えていましたが、
「老師敬服〜正派対邪教〜」では「正派」と「邪教」の数比べがあります。
ルール校正をしてくれたぼーずさんの一言で、
得点差をより大きくつけることで弟子を取ることに理由が出来ました。
即時効果の弟子はそのターンの助けになりますし、
後々に鍛えることでさらに素材を生み出します。
敬服効果の弟子はそろえれば、
敬服時に一斉に発動し、大量の素材を生み出します。
どちらで攻めても面白く、気に入っています。
■奥義
奥義は様々なものを試しました。
上下にアクションが書かれている初期タイルの形で当初は試していました。
しかし、奥義を使用しても子アクションがあるとやはり敬服された時に効果が大きく、
使用者本人も奥義にありがたみを感じられなかったのです。
「老師敬服」のタイルをそのままに、同様のレイアウトにし、
子アクションを無しにし、敬服でのみ使用できるもので落ち着きました。
奥義タイルの習得コストはほとんど敬服チップを使用するものになっています。
奥義の習得は強力なものの、敬服チップの消費によって相手に隙を見せることになります。
敬服チップを敬服に使うのか、奥義に使うのか、弟子に使うのか、
敬服チップをどこに使用するのかというきっかけを作った要素になります。
「老師敬服」では敬服チップをコストに使うことはなく、
キックスターターの特典で入った弟子のみだったと記憶しています。
■終わりに
以上が「老師敬服〜正派対邪教〜」についてのまとめになります。
ちなみに、「老師敬服〜正派対邪教〜」はかなりプレイヤーに厳しいゲームです。
無計画なプレイをすると、対戦相手に屈辱的な足元の見られ方をするため、
我こそはという方はぜひプレイしてみてください。
「老師敬服〜正派対邪教〜」はここから買えるので、
気になった人はぜひ、ご購入、ご検討よろしくお願いします。
ボードゲームに交わるエトセトラ Advent Calendar 2022の次の記事は…?
とにかく、お楽しみに!
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